コンセプト


心まで美しく、誇り高く。

着物は衣服です。一反の反物を縫い合わせたものを、紐と帯で身体を包むようにまとう、素朴な仕組みの、私たちの国の衣服です。しかし、多くの人にとって着物が日常着でなくなり、いつしか着物は特別なもの、手間のかかるものとして、あまりにも簡単に切り捨てられてきました。尾﨑呉服店は、着物は「文化」であり「知性」であると考えます。なにもかもがせわしなく変化を続け、季節の移り変わりさえ曖昧になってきた現代、ゆっくりと呼吸して、丁寧に紐を結うひとときが、今こそ必要なのではないでしょうか。移りゆく季節の声に耳を傾け、自分のからだとこころに向き合い、その日の着物と帯に触れることが、私たちの忘れかけている感覚を鋭敏に研ぎ澄ましてくれるような気がするのです。

袖の振りからこぼれ出る長襦袢の鮮烈な色彩。暑い夏に締める雪輪模様の帯の涼やかさ。一年に一度しか身に着けないサンタクロースの帯留。

装いに遊ぶことの本当の意味での贅沢と愉しみを、着物は教えてくれます。五感をひらき、こころが豊かであるとき、その人の着姿は染み入るような美しさに包まれます。だからこそ、スタイルも年齢も超越し、誰もが美しくまとう資質を持ち合わせているのです。一反の反物が、あなただけのために誂えられてゆく特別な時間を楽しんでください。あなた自身も知らなかったあなたの美しさを、その着物は教えてれるはずです。