今世紀初頭、視覚芸術の領域において、一つの構造が現われ始める。それは、最初にフランスで、続いてロシアとオランダで現われ、それ以来モダニズムの視覚芸術における野心の象徴として存続している。すなわち、戦前のキュビスムの絵画において姿を現わし、後によりいっそう厳格、明白となるグリッドは、とりわけ、近代芸術が持つ沈黙への意志と、文学や物語や言説に対する敵意を告知している。グリッドは、そのようなものとして目覚ましい効果をあげてきた。それが視覚の芸術と言語の芸術の間に設けた障壁は、視覚芸術を、排他的な視覚性の領域の中に囲い込み、語りの侵入から守ることに、ほぼ完璧に成功してきた。

(ロザリンド・クラウス「グリッド」1978年)

コンセプトへ